鹿島の栄光の歴史には常にブラジル人がいる。現コンビの貢献度は? (2ページ目)

  • 原山裕平●取材・文 text by Harayama Yuhei
  • photo by AFLO

 レオナルドやジョルジーニョといった一線級は、ジーコがいなければ来日することはなかっただろう。アルシンドやサントス、マジーニョと黎明期を支えた選手の質も高く、ビスマルク、マルキーニョス、レオ・シルバといった他のJクラブから加入した実力者も、ジーコのチームでプレーしたいという想いがあったはずだ。

 これまでに鹿島に在籍した外国籍選手のうち、9割以上がブラジル人で占められている(残りは韓国人)。わずか4カ月で退団したベベットのような誤算もあったにせよ、おおむね一定のパフォーマンスを示し、タイトル獲得に貢献している。

 1996年のリーグ初優勝時にはジョルジーニョ、連覇を達成した2008年にはマルキーニョスがMVPに輝き、2018年のACLではセルジーニョがゴールを量産し、アジア制覇の立役者となった。選手だけでなく、歴代の監督もそのほとんどがブラジル人で、ジョアン・カルロス、トニーニョ・セレーゾ、オズワルド・オリヴェイラらが優れた手腕を発揮して、クラブに栄光をもたらしてきた。

 一方で鹿島は、決してブラジル人選手に依存しているわけではない。才能あふれる若手を早くから抜擢し、主力へと成長させる術(すべ)にも長ける。

 とりわけ外国人に頼りがちなFWのポジションも、生え抜きの日本人を育てようという意図が見える。柳沢敦をはじめ、興梠慎三、大迫勇也、鈴木優磨と、これまでに多くのストライカーを輩出してきたのも、信念のもとで生まれた成果だろう。

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 生え抜きの日本人タレントと、ブラジル人との高次元での融合こそが、鹿島が長く常勝軍団であり続けるゆえんだろう。とはいえ昨季は無冠に終わり、今季は変革のシーズンを過ごしている。

 母国ブラジルで実績を積んだ新監督を招聘し、攻撃面の上積みを期待してファン・アラーノ、エヴェラウドというふたりのブラジル人を補強。染野唯月、荒木遼太郎、松村優太と、未来の鹿島を背負って立つであろう逸材も迎え入れている。海外移籍により層が薄くなった中堅どころは他クラブから補っているものの、常勝軍団の指針は揺らいでいないように見える。

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