Jリーグで活きのいいドリブラーが日本サッカーの閉塞感を打ち破る! (2ページ目)

  • 原山裕平●取材・文 text by Harayama Yuhei
  • 山添敏央●撮影 photo by Yamazoe Toshio

 しかし、次第にいい形でボールを受けられなくなると、無理な仕掛けからボールを失う機会が増加。効果的な崩しを繰り出せないまま、73分にピッチを退いている。

 加入1年目の今季、ここまで1試合を除く24試合にスタメン出場し、2得点・6アシストと目に見える結果も出している。C大阪の躍進の立役者のひとりであることは間違いない。

 だが、相手の対策が厳しくなっていることも、また確か。そこをいかに乗り越えていくかが、24歳になったばかりのドリブラーのこれからのテーマとなるだろう。

 坂元が苦しんだのとは対照的に輝きを放ったのは、浦和の左サイドでプレーした汰木康也だ。

 24番を背負う痩身のサイドハーフは、1点ビハインドの32分に、巧みなキックフェイントで狭いエリアをかわそうとしたところを倒されてPK奪取に成功。さらに71分には敵陣深くのゴールライン際でするすると相手を抜いていき、マルティノスのダメ押しゴールを演出している。

 2ゴールに絡んだこの汰木こそが、C大阪の堅守を打ち破る立役者となったことは間違いない。「前にボールを運べる選手が多かった」と、大槻毅監督も勝因のひとつにこのドリブラーの存在を上げている。

 面白いことに、汰木もまた坂元と同じ山形からステップアップを果たした選手である。

 横浜F・マリノスの下部組織から2014年に山形でプロデビュー。5シーズンプレーした後、昨季浦和に加入した。東洋大から昨季山形に入った坂元とは直接的な接点はないはずだが、年齢的にもひとつ上の"先輩"として意地を見せた格好だ。

 加入1年目の昨季は8試合の出場にとどまったが、2年目の今季は左サイドハーフとして開幕からスタメンを確保。8月、9月とその座を失う時期もあったが、第21節のサガン鳥栖戦で初ゴールを奪うとスタメンに返り咲き、第22節の柏レイソル戦、第23節のベガルタ仙台戦とアシストを連発し、C大阪戦でも勝利につながる活躍を見せた。

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