「久保世代」で日本の決定力不足は
解消なるか。Jで台頭する10代若手FWたち

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki
  • 佐野美樹●撮影 photo by Sano Miki

 試合前日の練習では、ショートカウンターからトップスピードで一気に攻め切ることを想定したメニューをこなしていたばかりだっただけに、それを見事に体現した小田のアシストには、ベンチからも「裕太郎、いいプレーだ」と声がかかった。

 やはり、J2クラブ相手の練習試合をひとつの物差しにすると、日常的にJリーグ(特にJ1)の試合に出場している選手とそうでない選手では、ピッチ上の立ち姿ひとつとっても、余裕や落ち着きが違って見える。

 例えば、試合に出ていない選手はひとつのプレーが終わると、ひと息入れてしまい、すぐに次のプレーに移れないのだが、出ている選手は自然と体が動く。当然、その次の状況にもすぐに考えが及び、周囲に指示を出すこともできるのだ。

 対戦相手の千葉にはJリーグ経験が豊富な選手も含まれており、攻守の切り替えが早く、球際の争いでもかなり激しく体をぶつけてくるなど、強度の高いプレーをしていたことで、その差は余計に際立って見えた。

 U-19日本代表を率いる影山雅永監督も、その差についてこう語る。

「19、20歳くらいの時代は、試合に出る、出ないによってパフォーマンスに大きく影響する。高校時代には(周りの選手を)リードしていても、その後(プロに入ってから)の試合にコンスタントに出ていないと、出ている(周りの)選手に、あっという間に逆転されてしまう。だから、試合に出る競争に勝つのは大事。日常のところで余裕が違ってくる」

 10代のJ1スコアラー5人の中では、今季のJ1出場時間が最も少ない藤尾は、「(同世代に)J1で点を取っている選手はたくさんいる。そういう選手には負けたくない」と言い、はっきりと競争心を表に出す。

「ここに来ているFWは、みんなライバルだと思って、その選手たちより結果を残していきたい」

3 / 4

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る