独自選考Jリーグ月間MVP。エリキ、驚きの覚醒のきっかけは何か (4ページ目)

  • photo by Matsuoka Kenzaburo

多くの選手が活躍する川崎で、小林は貫録を示した

原山裕平氏(サッカーライター)

1位 小林悠(川崎フロンターレ)
2位 エリキ(横浜F・マリノス)
3位 アンドレス・イニエスタ(ヴィッセル神戸)
4位 清武弘嗣(セレッソ大阪)
5位 三浦知良(横浜FC)

 9月のMVPも、6戦全勝の川崎から選ばないわけにはいかないだろう。6試合で18得点と1試合平均3点を奪った攻撃力は、Jリーグの歴史においても屈指の破壊力を備えている。

 そのなかでチーム最多の4得点を奪った小林悠を、MVPに推す。4試合で結果を残し、スタメン出場した3試合ですべてゴールを記録したのは評価に値する。苦しめられた湘南戦で唯一のゴールを決めたように、勝負強さも光った。旗手怜央、三笘薫の大卒ルーキーコンビが存在感を高めているが、長年に渡り川崎の前線に君臨してきたこのエースが、改めて貫録を示した格好だ。

 得点の数で言えば、エリキが、圧巻の決定力を見せつけた。ACLのスケジュールの影響で、横浜FMは9月に8試合をこなしたが、エリキは16節から6試合連続で計8ゴールを奪っている。エリキの活躍に導かれ、横浜FMは4連勝を達成し、消化試合数が多いとはいえ順位を上げてきた。スタメンでも、途中出場からでも結果を残せるこのブラジル人が、反攻のキーマンとなっている。

 監督交代の窮地を救ったのはアンドレス・イニエスタだ。8月下旬から欠場がつづいていたが、16節のFC東京戦で復帰すると、いきなりアシストを記録。監督が代わった18節からは全試合で得点に絡み、3連勝の立役者となった。

 鳥栖戦では1得点2アシスト。名古屋戦では鮮やかな崩しから決勝点を奪っている。急遽指揮を執ることになった三浦淳寛監督にとって、このワールドクラスの存在は頼りになるはずだ。

 清武弘嗣も変わらぬクオリティを披露した。とりわけ19節のベガルタ仙台戦では1得点1アシストで逆転の立役者に。2連敗の悪い流れを断ち切る活躍を示し、川崎追撃の可能性を残したのは、C大阪だけでなくリーグの盛り上がりを考えても、重要な仕事をこなしたと言える。

 そしてカズに関しては、言うことはないだろう。53歳にして日本のトップリーグの舞台に立ったのだから、それだけで、称賛に値する。驚きを通り越して、もはや奇跡である。

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