神戸・古橋亨梧の覚醒がエグい。日本代表でのプレーを見てみたかった (2ページ目)

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki
  • 佐野美樹●撮影 photo by Sano Miki

 しかしながら、見方を変えると、出色のプレーで作り出すチャンスの数に比して、得点数が今ひとつ伸びていなかった。

 FUJI XEROX SUPER CUPとJ1開幕戦で、幸先よく2試合連続ゴールを決めたものの、その後のJ1では第2~14節で4ゴールを重ねるにとどまっていた。

 決して少ない数字ではなかったが、J1全体でも際立つプレーを見せていることを考えると、その数は物足りないものだった。

 ところが、である。古橋は、監督交代が刺激となったのか、最近4試合で5ゴール。しかも、うち2試合で2ゴールずつを挙げる"固め打ち"。直近の第20節、横浜F・マリノス戦(3-2)でも、結果的に決勝点となる3点目を決めている。

 古橋はカウンターから単独でペナルティーエリア手前までボールを持ち込み、目の前に3人の相手選手がいながら横ばいのドリブルでシュートコースを作り出すと、冷静にゴール左へ蹴り込んだ。

 彼の特長であるスピードだけに頼ったものではない、"技あり"の一発だった。

「得点はチームみんなのおかげで取れた。周りに感謝したい」

 古橋は試合後、自身のゴールについては言葉少なだったが、「勝ちにつながったのはうれしい。チームとしても(押されながらも)勝ち切れたのはよかった」と、何より4連勝を喜んだ。

 それにしても、今季J1は過密日程を強いられているにもかかわらず、試合の質が思いのほか下がっていない。

 自らがボールを保持して攻撃を組み立てようとするチームが増える一方で、それに対するチームも引いて守るのではなく、果敢にプレスを仕掛ける。そんな攻防がコンスタントに見られている。

 結果的に川崎フロンターレが独走してはいるが、他チームが酷いプレーをしているわけではない。有り体に言えば、川崎が強すぎるのだ。

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