2020.09.23

カズ、J1最年長出場記録更新!
いまこそ振り返りたいキング伝説の数々

  • 渡辺達也●文 text by Watanabe Tatsuya
  • ヤナガワゴー!●撮影 photo by Yanagawa Go

 名言も数多く残している。

 その代表的な言葉が、98年フランスワールドカップ開幕直前に代表から外され、帰国後の記者会見で発した言葉だ。

「日本代表としての誇り、魂みたいなものは、向こうに置いて来た」

 カズとともに代表から外され、イタリアのホテルで3日間を一緒に過ごして悔しさや今後について話し合い、会見にも同席した北澤豪は、昨年、テレビ番組で、「ずるいなと思いましたね。こんな言葉、ずっと一緒にいましたけど、ひとことも言ってませんでしたから」と明かしていた。それこそが"キング"と呼ばれる所以かもしれない。

◆「カズ最高のシーズンはいつか」>>

 1992年、広島で行なわれたアジアカップ。日本はグループリーグ初戦のUAE戦、2戦目の北朝鮮戦と引き分け、3戦目のイランと対戦した。日本は勝たなければ決勝トーナメントに進出できず、一方のイランは、引き分けでも決勝トーナメントに進出できるという状況だった。

 イランは当然のように守りを固め、日本はその堅い守りを崩せないまま時間だけが過ぎていった。そして後半40分、ラモスの横パスを受けた井原正巳がゴール前にスルーパスを送る。そのパスに反応したカズがニアに思いっきり蹴り込んだ。そのゴールが決勝点となり日本は決勝トーナメントに進出。そしてその勢いのまま勝ち進み、アジアカップ初優勝を飾る。

 このイラン戦のヒーローインタビューで、カズは「思い切って、魂込めました。足に」と答えている。この「足に魂込めました」という言葉は、のちに書籍のタイトルにもなった。

 このゴールにもちょっとしたエピソードがある。試合後の囲み取材で、カズは「思いっきり逆サイドに蹴った」と語る。すると、記者から「カズ、シュートはニアだよ」と言われた。本人はファーサイドに決めたと思っていたのだが、それほど興奮していたのだ。

 また、「パスが出てくる前に井原と目と目が合った」とも言っていたが、井原ははっきりと、「カズさんと目は合っていないです。時間がなかったのでゴール前に出せば何かが起こると思って出した」と話している。当時、ハンス・オフト監督から"アイコンタクト"という言葉を言われ続けていたせいかもしれないが、カズにとって、どちらが事実かなど、どうでもいいことだったのだろう。