オリジナル10で最も優勝が遠い...。清水エスパルスはなぜ優勝できないのか (2ページ目)

  • 原山裕平●取材・文 text by Harayama Yuhei
  • photo by AFLO

 結局PK戦の末に涙を飲んだが、年間勝ち点65は、優勝したジュビロの49を大きく上回るものだった。当時、1シーズン制が採用されていれば、この時、エスパルスは悲願のリーグ優勝を成し遂げていたはずだった。

 2000年代前半まで、エスパルスは毎年のように優勝候補に挙げられる強豪クラブの位置づけだった。1996年にナビスコカップを制し、2001年には天皇杯優勝も成し遂げている。

"バンディエラ"である澤登正朗を筆頭に、堀池巧、長谷川健太、大榎克己ら王国産のタレントを軸に、強化を推し進めてきた。また、伊東輝悦、斉藤俊秀、森岡隆三、戸田和幸、市川大祐、三都主アレサンドロと、ワールドカップメンバーも数多く輩出している。とりわけオズワルド・アルディレス→ペリマンと続いた1996年から2000年までは、エスパルスにとっての黄金時代と言える時期だっただろう。

 しかし2002年以降は、優勝争いに絡めない日々が続いた。2005年から6シーズン続いた長谷川健太体制下では、藤本淳吾や岡崎慎司らの台頭があって上位争いを演じる時期もあったが、優勝を成し遂げるには一歩及ばなかった。

 以降は低迷の道をたどり、2015年には年間17位で、ついにJ2降格の悪夢も味わった。1年でJ1に復帰して以降も、優勝とは無縁の生活は続いている。

 なぜ、エスパルスは優勝できないのか。

 その原因はひとつではないだろう。クラブの予算規模もあれば、タレント不足もあるかもしれない。あるいは監督の選択にも問題があるのかもしれない。原因の追求は困難だが、ただし優勝チームに共通するものは示すことができる。それは継続性とタレント力。このふたつに尽きるだろう。

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 リーグ黎明期を席巻したヴェルディには、圧倒的なタレント力があった。2強時代を築いたアントラーズにはジーコがもたらした揺るぎない哲学があり、ジュビロにはまばゆい個性と革新的な戦術が備わっていた。2003年・2004年と連覇を達成したF・マリノスは緻密な監督の頭脳と、その戦術を高いレベルで体現する強力な個の力を兼ね備えた。

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