J1前半戦で移籍が「大吉」のベスト5。今季、飛躍を遂げた選手は誰? (3ページ目)

  • 山添敏央、佐野美樹●撮影 photo by Yamazoe Toshio,Sano Miki


第3位:DF山根視来
(湘南ベルマーレ→川崎フロンターレ)

text by Asada Masaki

 昨季J1で4位に終わった川崎フロンターレが、今季は一転、首位を独走している。

 しかしながら、昨オフに大型補強と称されるような動きは見せていない。ともに五輪代表であるMF三苫薫とFW旗手怜央の獲得はあったものの、彼らは大卒新人。プロでの実績はなく、活躍は未知数だった。

 そんななか、川崎が他のJクラブから獲得した、実質的に唯一と言っていい移籍補強が、DF山根視来だった。

 覇権奪還を目指す川崎が求めていたのは、"ポスト・エウシーニョ"。つまりは、4バックの右サイドバックである。その一方で、山根が湘南ベルマーレ時代に務めていたのは、3バックの右DF。必ずしも条件が合致していたわけではない。

 だが、山根は、はじめからサイドに開いて構えることが少ない3バックをこなしていたからこそ、ただライン際を上下動するだけのサイドバックにはならなかった。絞った位置で組み立てに参加しながら攻め上がっていく。そんな攻撃センスを備えていた。低い位置からビルドアップしていく川崎と山根との相性は、すこぶるよかった。

 実際、開幕当初こそ流れに乗れない場面も見られたが、ほどなく"水色"に溶け込んだ。第16節のサンフレッチェ広島戦で、MF田中碧の先制ゴールを鮮やかにアシストしたシーンを見れば、そのことはよくわかる。

 懸案だった右サイドバックの穴が埋まった川崎と、新たなポジションで自身のさらなる魅力を発揮している山根。

 お互いにとって、幸せな移籍である。

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