中田英寿、高原直泰の記録を越えた男。「ケチャップ、ドバドバ」の始まりか (3ページ目)

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki
  • 佐野美樹●撮影 photo by Sano Miki

 脇坂には宮代を囮に使う手もあっただろう。自らがシュートを打つタイミングはあったはずだ。しかし、その一方で、後輩に早くゴールを取らせてやりたいという気持ちもあった、のかもしれない。

 脇坂は相手DFをたっぷりと引きつけると、右後方から走り込む宮代の目の前に、柔らかなパスを転がした。

 宮代がうれしそうに、ゴールシーンを振り返る。

「ヤスくん(脇坂)がうまく抜け出して、最後は優しいパスをくれたので、流し込むだけだった。走り続けてよかった」

 落ち着いて蹴り込まれた記念のJ1初ゴールは同時に、チームに貴重な勝利をもたらす値千金の決勝点。そしてまた、ジュニア時代からフロンターレ育ちの宮代にとって「ここで決めるのが小さい頃からの夢だった」というホーム、等々力陸上競技場での初ゴールでもあった。

J1リーグ初ゴールを決めた宮代大聖J1リーグ初ゴールを決めた宮代大聖「点を取るところに関しては、彼は人と違うものを持ってる」

 鬼木監督がそう語るように、宮代の優れた得点能力はすでに世界の舞台、すなわちU-17、U-20の両ワールドカップでも証明されている。

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