2020.09.11

「平成の天才」は輝きを取り戻すか。
宇佐美貴史になくて江坂任にあったもの

  • 原山裕平●取材・文 text by Harayama Yuhei
  • photo by AFLO

 しかしこの日の宇佐美は、柏の守備がブロックを敷いたことでスペースがなかったことも影響したが、ゴールに直結する動きが少なかった。途中からポジションを下げたことで2列目からの飛び出しを繰り出す場面もあったが、それも単発に過ぎなかった。巧さはあったが、怖さを感じられなかったのだ。

 年齢を重ねるなかで、プレースタイルが変わることもあるだろうし、チームの標榜するスタイルがプレーに影響することもある。それでも宇佐美に求められるのは、試合を決する力だろう。影響力のあるプレーこそが、天才には似合うのだ。

 過去に海外から帰ってきた選手では、2007年に鹿島アントラーズに復帰し、3連覇を実現させた小笠原満男の影響力は絶大だった。2010年に横浜F・マリノスに帰還した中村俊輔も、衰え知らずのパフォーマンスを示し、2013年にMVPを獲得している。

 チームを変えながらもステップアップして3年連続得点王に輝いた大久保嘉人も、川崎フロンターレの連覇に貢献した家長昭博も、海外でのプレーを経験し、国内で輝きを取り戻した選手たちである。

 彼ら以上の才能を備える宇佐美にも、同様の活躍が期待される。もう28歳だが、まだ28歳でもある。もうひと花も、ふた花も咲かせる時間は、十分に残されているはずだ。

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