鹿島の「新黄金世代」誕生か。新星カルテットは22年前を思い出させる (3ページ目)

  • 原山裕平●取材・文 text by Harayama Yuhei
  • photo by AFLO

 染野の交代と入れ替わるように、ピッチに立ったのは荒木だった。

 荒木はこれまでに9試合に出場。第10節のヴィッセル神戸戦では初ゴールも決めている。直近の2試合ではアシストも記録しており、流れを変えるジョーカーとして存在感を高めている。

 ファン・アラーノに代わって右サイドに入った荒木だったが、この日のプレーは消極的に映った。動き自体にはキレがあったが、仕掛けられる場面でも味方に預けるプレーを選択するなど、ガムシャラさに欠けた。

 相手が退場者を出して数的優位の状況のなか、ボールを大事にする姿勢が強すぎたのかもしれない。あるいは持ち前の視野の広さが、逆にプレーの選択を難しくしてしまったのかもしれない。

 守備の局面では激しく相手にプレスを仕掛けたが、大谷秀和に軽くあしらわれるなど、フィジカル面でのもろさも見られた。とはいえ、均衡を打破するべく土居とともに交代の最初のカードに切られたのは、指揮官の期待の表れだろう。まだあどけなさの残る18歳である。パフォーマンスに波があるのは当然だ。この1試合だけでわかったようことを書くのは、やめておこう。

 この日出番のなかった松村は、リーグ戦2試合に途中出場したのみにとどまっているが、ルヴァンカップではゴールを記録。山田はリーグ戦2試合にフル出場している。いずれの選手も順調なスタートを切ったと言えるだろう。もっとも今季は、他クラブでも高卒1年目の選手が主力となっているケースが少なくないだけに、彼らとしては当然満足していないはずだ。

 大きな期待をかけられながらも伸び悩み、消えていく選手はプロの世界では珍しくない。4人のルーキーズはその重圧をはねのけ、新生アントラーズの象徴となれるだろうか。

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