鹿島の「新黄金世代」誕生か。
新星カルテットは22年前を思い出させる

  • 原山裕平●取材・文 text by Harayama Yuhei
  • photo by AFLO

 染野はすでに、第2節の川崎フロンターレ戦でデビューしており、続く北海道コンサドーレ札幌戦では先発出場も果たした。第9節のサガン鳥栖戦、第10節のヴィッセル神戸戦ではアシストも記録している。

 ここまでリーグ戦8試合に出場し、先発出場は2試合。ふたつのアシストを決めた一方、ゴールはまだ奪えていない(ルヴァンカップの清水エスパルス戦でプロ初ゴールを記録)。

 2トップの一角として3度目のスタメン出場を果たした染野は、立ち上がりからポテンシャルの高さを感じさせるプレーを披露した。

 開始5分、後方からのフィードに反応しエリア内に走り込むと、そのままダイレクトボレーでゴールを狙う。これは空振りに終わったが、その鋭い動き出しは本格派ストライカーの匂いを存分に醸していた。

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 より光ったのは、力強いポストプレーだ。対峙する柏の古賀太陽のチャージをモノともせずに、確実にボールを収めていく。フィジカル面でも十分にプロレベルに達しており、もろさは微塵も感じられなかった。

 さらに35分には、エリア手前で得たFKのキッカーも務めた。このキックは壁に当たって枠を逸れたが、先制の絶好の機会で重要なプレースキッカーを任されるとは、これ以上ない信頼の表れだろう。

 ハイライトは、41分のプレーだ。

 左サイドでボールを受けると、前方のスペースに走った和泉竜司に縦パスを供給し、和泉がキープする間に自らも中央のスペースに走ると、リターンされたボールを左足で強振。鋭いグラウンダーはわずかに右に逸れたが、味方と連動して決定機を生み出したプレーにはセンスのよさと、貪欲なまでのゴールへの執念が感じられた。

 結局、染野は54分に土居聖真と代わってピッチを後にした。リーグ戦初ゴールはまたしてもお預けとなったが、プレー精度や状況判断の質の高さを見るかぎり、その瞬間は早い段階に訪れることになりそうだ。

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