迫力ある守備を見せるガンバ。
就任3年目で築いた宮本流必勝パターン

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki
  • 木鋪虎雄●撮影 photo by Kishiku Torao

 本来的には、もっと自分たちがボールを保持する時間を作りたいという狙いもあるようだが、過密日程で行なわれる今季は、すべての試合で常に完成度の高いサッカーを展開するのは難しい。とりわけ現在のような酷暑のなかでは、不可能と言ってもいい。だとすれば、少々粗削りであろうとも、攻守両面で選手個々の質が高く、いい意味で"それなりのレベル"を常に保てるほうが、今季のような異例のシーズンには向いていると言えるかもしれない。

 直近の第12節では鹿島アントラーズと対戦し、1−1の引き分けに終わった。開始6分にしてMF小野瀬康介のゴールで先制しながら、その後は圧倒的な守勢を強いられた結果である。

「90分間(ゲームを)マネジメントするなかで、どちらに転ぶかわからないような厳しい試合が続くという想定だったが、それに反して早い時間に点が取れた」

 宮本恒靖監督がそう振り返ったように、思わぬ先制点が、逆にG大阪の選手から積極性を奪ってしまった格好だ。

 しかしサッカーにおいて、こうした展開、すなわち、本来の力関係とは別に、リードした側が猛攻にさらされることは珍しくない。ボールを奪ってもつなぐことができず、パトリックへ向けて大きく蹴り出すことが多くなったのは確かだが、それができるのは、前線に怪物FWを擁すればこそ。言い換えれば、G大阪の強みでもある。

 指揮官も、「後半に入って守備をする時間が長くなり、そこはある程度仕方がないというか、割り切ったなかで試合を終わらせるプランに移っていった」と振り返る。

 後半ロスタイムに痛恨の同点ゴールを許し、土壇場で勝ち点2を失ったことはもったいなかった。「(守備を固めて)割り切った戦い方をするならば、引き分けと勝ちでは全然感情が違うし、最後の結果は残念」と、昌子が語っているとおりだ。

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