元名古屋トーレスの変わらぬ日本愛。
「縁の下の力持ちとして支えたい」

  • リカルド・セティオン●文 text by Ricardo Setyon
  • 利根川晶子●翻訳 translation by Tonegawa Akiko

 ヴァスコ・ダ・ガマで1シーズンをプレーした後、トーレスは引退した。しかしその後も彼は様々な形でサッカーにかかわっている。

「私はサッカーにおいてすべての立場を経験している。父がプレーするのをサポーターとして応援し、少年の頃はボールボーイをし、ジュニアの選手としてプレーし、トップチームでプレーし、引退後は監督も代理人もチーム幹部も経験した。またヨーロッパのビッグクラブのためにブラジルの若手選手のスカウトをしたこともあった」

 現在、トーレスはかつてのCBコンビの相棒リカルド・ロシャとコンサルタント会社を創立し、ブラジルのチームのいくつかをバックアップしている。

 これまで元Jリーグのブラジル人を何人も取材してきたが、中でもトーレスの日本に対する、Jリーグに対する愛情は格別に大きいと感じた。トーレスは最後にこんな言葉で日本への思いを締めくくった。

「私がこれまで経験してきたこと、すべてを活かし、日本のサッカーの発展に手を貸せたらうれしい」

 実際、2003年から数カ月間は、コンサドーレ札幌のコーチにも就任している。

「日本で5年プレーしたおかげで、日本人のメンタリティはわかっているつもりだ。選手ひとりひとりを助けることもできると思う。マンチェスター・ユナイテッドではプレーにおける哲学も学んだ。もちろん監督もできるが、監督とは言わない。日本のどこかのチームを、スタッフとして縁の下の力持ちとして支えてみたい。そしてまた日本の友人たちと再会し、できればともに仕事がしたい。私や私の家族を暖かく迎えてくれた、愛する日本の人たちへ、何か恩返しができたらと思う。私の心はいつも日本に向かって開いている」

トーレス
本名カルロス・アレクシャンドレ・トーレス。1966年8月22日生まれ。フルミネンセ、ヴァスコ・ダ・ガマを経て、1995年、名古屋グランパス入団。2000年、ヴァスコ・ダ・ガマに復帰し、翌年、現役を引退した。1992年にはブラジル代表にも選ばれている。


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