セレッソ大阪、「打倒・川崎」対策に効果。完敗するも主導権は握っていた (3ページ目)

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki
  • 山添敏央●撮影 photo by Yamazoe Toshio

 と同時に、指揮官の表現を繰り返すなら、だからこそ、「もったいない」試合でもあった。

 昨季J1最少失点(25失点)だったC大阪は、今季も(川崎戦の前までは)最少失点タイと、堅い守りを武器にしている。

 堅守と聞くと、どうしても引いて守りを固める消極的な戦い方を想像してしまうが、C大阪の場合、そうではない。あくまでも、自分たちがボールを保持してゲームを進める発想がベースにあり、バランスを崩した悪いボールの失い方をしないからこそ、結果的に失点を少なくできた。

 もちろん、得点力には改善の余地がある。11試合で14ゴールは、2位につけるチームとしては寂しい数字だ。しかし、攻撃の組み立てを見ていても、単にボールを保持しているだけでなく、縦への進みも悪くない。そうでなければ、たとえ限られた時間であろうとも、川崎相手に主導権を握って試合を進めることなどできなかったはずだ。

 昨季は、ロティーナ監督の就任1年目で5位。ロティーナ体制2年目の今季、チームは対戦相手に応じた戦術にも柔軟に対応し、着実に成長している様子をうかがわせる。

 過密日程にも関わらず、ここまでの試合で主力メンバーの固定化傾向が見られるのは少々気になるところではあるが、単純に試合内容に目を向ければ、今の順位には納得がいく。

 川崎とは、10月3日の第20節で"再戦"が予定されている。今度はC大阪のホームで戦えるアドバンテージもあり、どんな戦いを見せてくれるか、楽しみだ。

 それまでの間、順位はもちろん、勝ち点差でも首位の背中が見える位置につけることができるなら、今季J1はまだまだ面白くなるはずである。

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