セレッソ大阪、「打倒・川崎」対策に効果。完敗するも主導権は握っていた (2ページ目)

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki
  • 山添敏央●撮影 photo by Yamazoe Toshio

 川崎は「中盤の圧力のところで、後手に回った」(鬼木逹監督)ことで、ボランチの数を1人から2人に増やし、従来の4−3−3から実質4−4−2へ変更。「初めてやったところはある」(鬼木監督)という応急処置を余儀なくされた。

 それでも「(初めてのフォーメーションを)選手はうまくやってくれた」(鬼木監督)あたりはさすがだが、そうせざるを得ない状況にC大阪が追い込んだ、のは確かである。

 C大阪の川崎対策は、間違いなく有効だった。結果が出た今となっては、幾分説得力を欠くものの、勝機は十分にあった。そう言ってもいいだろう。

「思ったような展開になっていたが、ふたつのエラーをしてしまい、川崎がそれを得点に結びつけた。いい内容だったのにもったいなかった」

 ロティーナ監督がそう振り返ったように、結果的には、前半のうちに1−2と逆転を許した。

 さらには、「この試合の中で、唯一プレー内容がよくなかったと思うのは、後半立ち上がりの15〜20分間」とロティーナ監督。指揮官の言葉どおり、川崎が完全にボールを支配し、敵陣で試合を進め続けた時間は、この間だけだったにも関わらず、そこで3点目を与えてしまった。

 勝負どころを見逃さず、確実に得点を加えていくあたりは、C大阪にとってみれば、敵ながらあっぱれである。敗軍の将も「すばらしいクオリティを持っていて、選手交代でまたクオリティが上がる」と、川崎を素直に称える。

 しかしながら、戦力的な不利を認識したうえで、いかに戦うか。その点において、C大阪の戦いぶりには可能性を感じさせるものであり、互いの攻防は見応えがあった。

 実際、試合終盤は失点を重ね、最終的には大差がついたが、後半にもC大阪はいくつかの決定機を作った。

「我々の得点は2点だったが、立ち上がりはさらにチャンスがあり、後半もチャンスがあった。4点取っていてもおかしくなかった」

 ロティーナ監督のそんな言葉も、決して負け惜しみには聞こえなかった。

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