元バルセロナの重鎮に絶賛された
「美しく勝つ」永井秀樹のヴェルディ

  • 会津泰成●文 text by Aizu Yasunari
  • 木鋪虎雄●撮影 photo by Kishiku Torao

永井秀樹 ヴェルディ再建への道
トップチーム監督編(15)

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 相手を圧倒して美しく勝つ――。

 トップチーム監督に就任以来、「異端」「非現実的」と揶揄(やゆ)されてきた、永井秀樹が追い求める理想のサッカーが今、形になりつつある。

永井秀樹監督率いるヴェルディは、7月の甲府戦でいい形の勝利を収めた永井秀樹監督率いるヴェルディは、7月の甲府戦でいい形の勝利を収めた 7月15日(水)のヴァンフォーレ甲府戦で、ヴェルディは華麗なパスワークと圧倒的な攻撃(シュート数16/得点4)で勝利。続くジェフユナイテッド千葉戦でも終始ゲームを支配して(シュート数13/得点2)勝利をおさめて今季初の連勝を飾った。以後は引き分けや負け試合もあるものの、昨シーズンから課題だった守備面が安定するようになってきた。

 永井はヴェルディユース監督時代を含めて4シーズン、ポジショニングと数的優位の重要性を選手に伝え続けてきた。トップチームの監督としては1年が経ち、選手も頭で理解するだけではなく、ピッチ上のプレーで表現ができるようになってきている。

 さらに、試みていることがある。「質の追求に終わりなし」と常々話す永井は、おそらくJリーグクラブでは初となる「パーソナル・コーチング」を取り入れた。

「我々らが描きたいサッカーの絵は決まっている。その絵はジクソーパズルと同じように、控え選手も含めた全員、1ピースでも欠ければ完成しない。だからこそチーム全体の戦術判断とは別に、各自のポジションや状況によって、個人戦術の質を高める必要がある。そのあたりをフォローする目的で、選手それぞれに担当コーチをつけて、より細分化して分析やアドバイスができないかと考えた。

 担当コーチは、練習から試合まで、選手のワンプレーに対して『この場面での立ち位置は違う』『この状況では、ここにボールを通した方がよりいい』という感じで、具体的にアドバイスする。『そのプレーでは駄目だ』で終わりにするのではなく、『正しい位置はここ』と具体的に伝えるから、選手もきちんと理解して改善に役立てられるようになったと思う」(永井)

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