昨季の二の舞か、それとも...。
今季の名古屋グランパスは本当に強いのか

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki
  • 山添敏央●撮影 photo by Yamazoe Toshio

◆あの時、名古屋グランパスは変わった>>

 本当は強いのか、弱いのか。名古屋グランパスは、それを判断するのが実に難しいチームだ。

 今季開幕前、名古屋の評価は決して高いものではなかった。

 昨季の順位は13位。しかも、J1参入プレーオフに回った16位の湘南ベルマーレとはわずかに勝ち点差1しかなかったのだから、当然と言えば当然だ。

 とはいえ、そんな昨季も序盤戦では、上位争いに加わっていた。

 J1開幕から3連勝でスタートすると、第12節終了時点では7勝2敗3分けと大きく勝ち越し。一昨季のJ1得点王、FWジョーをはじめ、FWマテウス、MFガブリエル・シャビエル、MFジョアン・シミッチら、ブラジル人選手も軒並み好調で、一時は首位にも立つなど、優勝にも手が届きそうな勢いがあった。

 ところが、第13節での黒星を端緒に、第21節までの9試合は6敗3分けと急失速。第22節でようやく10試合ぶりの勝利を手にしたものの、その後も悪い流れが変わることはなかった。

 第26節を最後に風間八宏前監督が解任され、今季も引き続き指揮を執るマッシモ・フィッカデンティ監督に代わってもなお、さして状況は改善されず、第13節以降の22試合は2勝13敗7分け。強力助っ人の活躍もいつしか影を潜め、開幕当初の強さがまるでウソのように、名古屋は急坂を転げ落ちていった。

 翻(ひるがえ)って、今季である。

 開幕戦を引き分けた名古屋は、中断明けの第2節から4勝1分けと、絶好の再スタートを切った。

 第7節終了時点では、勝ち点14の3位。同19で首位の川崎フロンターレ、同16で2位のガンバ大阪には及ばなかったが、名古屋の試合消化が1試合少ないことを考えれば(新型コロナウィルス感染の検査で名古屋に陽性者が出たため、第7節のサンフレッチェ広島戦が中止となった)、トップ2とほぼ肩を並べる成績だった。

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