2020.08.17

槙野智章が先発すれば負けない。
守備崩壊を救ったベテランの意地

  • 原山裕平●取材・文 text by Harayama Yuhei
  • 佐野美樹●撮影 photo by Sano Miki

 そうした献身性が浦和の守備を強固なものとしたが、本来は守備に比重を置きながらもカウンターから追加点の機会をうかがいたかったはずだ。しかし、この日の浦和はあまりにも相手にボールを持たれすぎた。関根だけではない。常にリアクションの動きでは、実際以上の疲労を感じるものである。

 硬さはあったが、隙がなかったわけではなく、すぐさま同点とされてもおかしくない空気が流れ始めた。そんな嫌な流れを断ち切ったのは、GKの西川周作である。

 17分にレアンドロ・ペレイラの決定的なヘディングシュートをストップして勢いに乗ったこの守護神は、21分にもレアンドロ・ペレイラのバイシクルシュートを見事な反応でゴールの外へとかき出した。

 圧巻だったのは、後半立ち上がりの51分。CKをニアで合わせられたハイネルのヘディングシュートを、反応の逆を突かれながらも右手1本ではじき出した。まさに当たり日だった西川こそが、この日の最高殊勲選手であったことは間違いない。

 一方で槙野もまた、勝利の立役者のひとりだろう。レアンドロ・ペレイラの対応に苦しみながらも要所で力強い守備を披露。ハイライトは後半立ち上がりのプレーだ。川辺駿の強烈なシュートを、身体をなげうってブロック。弛緩した空気が流れやすい時間帯で見せたこの魂のプレーが、再び浦和に活力と緊張感をもたらしたように見えた。

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 2012年の加入以来、常に浦和の最終ラインに君臨してきた槙野だったが、今季は決してレギュラーの座を約束されていたわけではなかった。開幕戦ではベンチに回り、中断明け後はベンチにも入れない日々が続いた。そんな状況から故障が疑われたが、自らのSNSでこれを否定。自身の立場を認めたうえで、再びレギュラーに返り咲くことを誓っていた。

 第7節の横浜FC戦で今季初先発すると、完封勝利に貢献。続く清水戦では1−1で引き分けたが、3度目の先発となったこの広島戦で再びクリーンシートを達成して見せた。