2020.08.16

横浜FC松尾佑介の代表入りは近い。
アラフォーの先輩も「君付け」

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • ヤナガワゴー!●撮影 photo by Yanagawa Go

 20分には、右で味方がボールを持った瞬間、左の松尾はポジション的優位を得ている。相手の背後を取る形でクロスを呼び込むと、そのボールの置きどころが完璧。左足でニア上に放り込むシュートも圧巻だった。実は、伏線がこのプレーの直前にできていた。右からのクロスに対し、やはりいいポジションを取っており、そこにボールが来るはずだったが、相手ディフェンスのハンドでPKになっていたのだ。

 松尾は、すべてのプレーがゴールを匂わせる。

 こぼれたボールを右足で躊躇なく振り抜くシーンなど、イメージの強さを感じさせる。そこから逆算し、ポジショニングのよさがあるだろう。準備の時点で勝っているし、タイミングの取り方がうまいことで逆をつける。サイドバックとの連係で、ワンツーを何気なくタメて出すことでラインを突破させたプレーなどは象徴的だろう。

 欧州で活躍するには、実は俊敏性と技術だけでは足りない。ポジショニングやタイミングが悪いと、水の泡。利点をうまく用いて、したたかにゴールへ迫る必要があるのだ。

「いいイメージで試合に入って、それがゴールにつながりました。ハットトリックしたかったので、(後半10分での)交代は少し早いな、というのはありましたけど。次もすぐに試合がありますので、そこで結果を残せるようにしたい」

 試合後、ヒーローインタビューを受けた松尾は淡々と語っているが、ルーキーらしからぬ剛胆さが見える。

「松尾はつかみどころがない」

 チーム関係者はそう言う。力みがなく、流されない性格なのだろう。たとえば、クラブユース育ちの選手が、少し年齢が上の先輩選手を「君付け」で呼ぶことは珍しくないが、松尾はアラフォー世代の選手たちも君付けで呼ぶなど、独特の感覚で周囲を驚かせる。さすがにカズ(三浦知良)だけは、「カズ君」ではなく「カズさん」と呼んでいると言うが......。

 この日のスタンドには、日本代表の森保一監督も視察に訪れており、"御前試合"になった。10月に予定される代表戦に招集される可能性も、十分にあるだろう。Jリーグの同じポジションだと、首位で躍進する川崎フロンターレでゴールを量産している三苫薫との争いになるか。

 次節は8月19日、横浜FCは同じく本拠地で鹿島アントラーズとの一戦を迎える。

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