変則ルールで問われる「采配力」。高いのは川崎・鬼木監督で低いのは? (3ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki
  • 山添敏央●写真 photo by Yamazoe Toshio

 一方、交代枠の使用率が最も少ない監督は、マッシモ・フィッカデンティ監督(名古屋グランパス)で、1試合平均3.71人だ。使った選手の総数(19人)も、リーグで最も少ない。川崎の鬼木監督とは対照的だ。名古屋は消化試合が1試合少ないにもかかわらず、現在4位につける。好調を維持しているが、選手の使い方を見る限り、いっぱいいっぱい。早くも鞭が入っている状態だ。

 そうした意味では5位の柏レイソルも危うく見える。ネルシーニョ監督の交代選手の1試合平均は3.88(17位)。フィッカデンティに次ぐ少なさだ。

 現在、川崎、G大阪に次いで3位を行くセレッソ大阪のミゲル・アンヘル・ロティーナ監督も交代枠の使用率が1試合4人と低い。なにより成績を欲して戦っているように見える。

 ちなみに、前節(第9節)、5人枠を使い切ったのは川崎、G大阪、名古屋、柏、浦和レッズ(大槻毅監督)、北海道コンサドーレ札幌、横浜FM、鹿島、鳥栖、大分トリニータの10チーム。

 4人に終わったのは、FC東京(長谷川健太監督)、広島(城福浩監督)、ヴィッセル神戸(トルステン・フィンク監督)、ベガルタ仙台(木山隆之監督)、横浜FC(下平隆宏監督)、湘南ベルマーレ(浮嶋敏監督)。

 そして3人に終わったのが、ロティーナのC大阪で、わずか2人だったのがピーター・クラモフスキー率いる清水エスパルスだ。

 クラモフスキーは4-2で勝利した第7節の大分戦でも3人しか代えられなかった。最下位からスタートしたチームを15位まで上げてきているが、勝利優先になりすぎていて、交代枠をフルに使う余裕がなくなっているように見える。采配に落ち着きを取り戻すことはできるのか。

 多くの選手を使いながら勝利を手にすることができると、チームの将来は明るくなる。注目したい。

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