2020.08.15

変則ルールで問われる「采配力」。
高いのは川崎・鬼木監督で低いのは?

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki
  • 山添敏央●写真 photo by Yamazoe Toshio

※小数点第3位以下は四捨五入※小数点第3位以下は四捨五入  1試合5回の交代枠を、8試合すべて使い切った監督が1人だけいる。川崎フロンターレの鬼木達監督だ。5人を必ず変えることを、自らに課しているようでさえある。可能な限り多くの選手を使いながら、2位ガンバ大阪に勝ち点6の大差をつけ、首位を独走する。

 さらに言うならば、サッカーの中身もいい。他チームとの比較だけでなく、川崎の過去のチームと比較しても、だ。クラブ史上最高のサッカーとは筆者の見立てだが、そこに大きな価値を感じる。模範的な采配とはこのことを指す。こう言ってはなんだが、選手交代に難を抱える森保一日本代表監督に見習って欲しい采配だ。

 2位は2人。1人はミハイロ・ペトロビッチ監督(コンサドーレ札幌)だ。1試合平均4.88人。交代枠を唯一、使い切らなかった第8節のヴィッセル神戸戦にしても、その時、ベンチ入りしたメンバーが18人ではなく17人だったことが関係しているものと思われる。鬼木監督同様、5人枠を使い切ることにこだわっている様子が見て取れる。

 もう1人は金明輝監督(サガン鳥栖)。第4節のサンフレッチェ広島戦以外、5人枠をすべて使っている。現在15位につけているが、こうしたチームは後半から終盤にかけて、チーム力は上がっていく。Jリーグ監督の中でただひとりの30代。監督としての筋はいいと見る。

 4位は宮本恒靖監督(ガンバ大阪)で4.63人。彼も若手監督の部類に入るが、監督業が板に付いてきた感じだ。それでいながら成績は2位。多くの選手を使うことと、成績をクルマの両輪のように追求できている状態だ。選手のモチベーションは高いはず。大崩れはしないとみる。

 5位は3人。昨季の優勝監督、アンジェ・ポステコグルー監督(横浜F・マリノス)、ザーゴ監督(鹿島アントラーズ)、片野坂知宏監督(大分トリニータ)で、4.5人だ。

 ザーゴは高卒ルーキーを積極的に起用しているが、後半にかけてその成果は現れるのか。片野坂監督は、登録選手35人中、Jリーグ最多の30人をすでにピッチに送り込んでいる。多くの選手に出場機会を与えている。現在16位。厳しいシーズンになりつつあるが、くり返すが今季は降格がない。来季を見据えた頭脳的な戦いと言えるのかもしれない。