遠藤渓太は「注目の日本銘柄」。現代的アタッカーはドイツで羽ばたくか (2ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • ヤナガワゴー!●写真 photo by Yanagawa Go

 逆足のサイドアタッカーは、今や世界のサッカーシーンをリードしている。リオネル・メッシ(バルセロナ)、サディオ・マネ、モハメド・サラー(リバプール)、ラヒーム・スターリング、リヤド・マフレズ(マンチェスター・シティ)、ジェイドン・サンチョ(ドルトムント)らは、崩すプレーだけでなく、得点力も出色。攻撃型のチーム編成では欠かせない。

 そして日本人選手は、このポジションで垂涎の的になっているのだ。

 レアル・マドリードが所有権を持つ久保建英は、その筆頭格と言える。スペイン1年目で、マジョルカの攻撃をけん引。右サイドをスタートポジションに、自在に中央に切り込み、割って入れるファンタジスタだ。

 他にも、2019-20シーズンに欧州でプレーした逆足の日本人アタッカーは枚挙にいとまがない。スペインの乾貴士(エイバル)、安部裕葵(バルサB)、ポルトガルの中島翔哉(ポルト)、オランダの堂安律(PSV)、中村敬斗(トゥウェンテ)、ベルギーの三好康児(ロイヤル・アントワープ)、スコットランドの食野亮太郎(ハーツ)など、人材豊富だ。

 日本人の持っている俊敏性と高い技術は、欧州でも大きな利点になっている。爆発的なスプリント力はないが、素早さを反復して先手を取れる。また、ボールを止め、動かす技術に長けるだけでなく、多くの選手がコンビネーションも使えるのだ。

 遠藤も、"注目の日本銘柄"と言えるだろう。

 横浜FC戦も、持ち味を発揮していた。アシストしたシーンでは、自ら仕掛け、一度はボールを奪われかけたが、取り戻し、1対2の局面をすり抜けている。ラストパスも完璧だった。

 得点のシーンでは、右からのクロスに対し、相手ディフェンスの背後を取って、しっかりヘディングでコントロールした。簡単に映るが、サイドアタッカーがファーポストにタイミングよく入る動きは、戦術眼が必要となる。逆サイドでボールを持った選手が下がったら、前のスペースを狙う釣瓶(つるべ)の動きだが、メッシはパサーの時もフィニッシャーの時も、その質が高い。

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