今季「J1全順位」を改めて予想。
急浮上、急降下するチームはあるか

  • 山添敏央●撮影 photo by Yamazoe Toshio

選手層厚く、完成度高い川崎が独走も。
FC東京、横浜FMはACLが気になる材料

浅田真樹氏(スポーツライター)

 ようやく再開された今季J1は、週2試合ペースでの連戦が多い過密日程。メンバーを固定することで、チームの熟成度を高めていく手法は、通用しにくいだろう。しかも、1試合の交代枠は3から5に拡大されている。例年以上に、選手層の厚さが物を言うシーズンになるはずだ。

 少数精鋭で練度の高いサッカーを目指すよりも、(多少の粗さが残るサッカーでもいいので)メンバーを入れ替えても、チームの出来を大きく上下させない。そうした戦い方ができるクラブが有利と見る。サプライズ的な伏兵の躍進は起こりにくい。

 優勝候補筆頭は川崎フロンターレだ。選手層の厚さはもちろん、サッカーの完成度でも高いレベルにある。AFCチャンピオンズリーグに振り回される心配もなく、場合によっては独走もあるかもしれない。

 対抗の一番手はFC東京。選手層の厚さでは川崎に劣るが、能力の高い選手がレギュラークラス+αでそろっている。昨季、中3日以下の試合で好成績を残しているように、戦術に幅があり、状況に応じた戦い方ができることも、過密日程ではプラス材料だ。

 対抗の二番手は横浜F・マリノス。昨季は中3日以下の試合で成績が悪く、日程面に不安がある。そのため、開幕前の優勝予想から3位へと順位を下げたが、選手層は厚く、サッカーの質も高い。連覇の可能性はある。

 ただし、FC東京、横浜FMに共通して気になるのは、ACLがどうなるか。今後の日程と開催方式が発表されたが、例年以上に負担は重い。本当に再開されれば、大きなマイナス材料になるだろう。

 そのほか、大まかな序列は開幕前の予想からさほど変えてはいないが、大きく順位を上げたのは、浦和レッズと名古屋グランパス。いずれも充実した戦力を評価した。対照的に下げたのは、鹿島アントラーズ。今ほどの低迷がずっと続くとは思わないが、それでもひと桁順位が精一杯だろう。

 例年はシーズン終盤までもつれる下位グループも、今季はJ2降格の心配がないことで、よくも悪くも平常心で戦える。"火事場の馬鹿力"は発揮されにくく、あっさり順位が固まる可能性もあるのではないだろうか。

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