2020.07.07
不屈のFWワシントン。プロ復帰は
無理と言われても心臓疾患を克服した

- リカルド・セティオン●文 text by Ricardo Setyon
- 利根川晶子●翻訳 translation by Tonegawa Akiko
ただ、彼はどこにいっても常に自分のベストを尽くした。パラナ州リーグで得点王になり、ブラジル全国リーグでもゴールを決めた。それでもパラナが降格することは防げなかったが、ここで手を差し伸べてきたのが、一度彼を手放したポンチ・プレタだった。
ブラジルの中堅チームは万年財政難に苦しんでいる。にもかかわらず、ポンチ・プレタはワシントン獲得に破格の100万ドル(約1億2000万円)を払った。彼らはワシントンに賭けたのである。彼が調子を取り戻せば、世界にも通用する選手であることを、わかっていたのだ。
ワシントンは言う。
「この二度目のポンチ・プレタへの移籍から、何かが変わった。自分を再び取り戻した気がして、より軽やかに、より落ち着いてプレーできるようになった。3年の眠りから再び目覚めたような気分だった」
1年目の2000年、ポンチ・プレタで16ゴールを決め、サンパウロ州リーグの得点王となった。同じ年にはコパ・ド・ブラジルで12ゴールを決め、セリエBのポンチ・プレタを準決勝にまで導いた。翌2001年のブラジル全国リーグでは18ゴールをマーク。これは得点王のロマーリオにたった3点差だった。