J2再開。将来の日本代表候補として期待できる注目株が水戸にいる (4ページ目)

  • 浅田真樹●文 text by Asada Masaki
  • photo by Newspix.pl/AFLO

 2月23日の今季J2開幕戦。J1昇格候補筆頭と見られる大宮アルディージャを相手に、水戸は惜しくも1-2で敗れはしたが、山田自身は早くも美しいゴールを叩き込んだ。

 1点ビハインドで迎えた後半11分、相手選手のクリアボールが高く浮いたところをダイレクトボレーでシュートすると見せかけ、足元にピタリとトラップ。相手DFを楽々とかわすと、右足をひと振りし、ゴールネットを揺らした。

 相手DFを翻弄するような柔らかなトラップ。コースを狙いすました冷静なシュート。今季加入の新戦力が見せた、テクニックとアイデアに溢れるゴールだった。

 加えて言えば、ゴールにはならなかったが、後半33分のシュートシーンもスゴかった。

 右CKをゴール正面で受けた山田は、胸で止めたボールを右足でチョンと浮かせ、目の前の相手選手の頭を越すと、すぐさまボールの落下点へ移動し、右足ボレーシュート。ボールは惜しくも枠を外れたものの、あわやスーパーゴールという、流れるようなプレーだった。

 持てる能力に疑いはない。だからこそ今年1年、主力選手として、今まで以上に勝利を渇望しながら、開幕戦のようなプレーを続けることができれば、きっと彼を取り巻く環境は自然と変わっていくはずである。

 歴史を振り返れば、J2での経験を機に、くすぶっていた才能が大きくブレイクした例は少なくない。

 柿谷曜一朗、齋藤学......。彼らは、J2クラブへの期限付き移籍を経て、のちにワールドカップメンバーにまで名を連ねた選手たちである。

 新型コロナウィルスの感染拡大で長らく中断していたJリーグだが、まずはJ2がJ1に先駆け、6月27日に再開する。

 すでに飛躍の予感を漂わせる山田のプレーに注目したい。

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