再開Jで問われる監督の力量。
「80点試合」増で攻撃的チームが有利だ

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki
  • 長田洋平/アフロスポーツ●写真 photo by AFLO SPORT

 具体的に言うならば、どれほどピッチを広く使えるかだ。真ん中に固まらずサイドを有効に使えるか。レアル・マドリード等の試合を見ていてつくづく思うのは、パスの質と正確性だ。中長距離のパス、とりわけサイドチェンジには目を見張るものがある。

 サイドアタッカーの足元に、寸分違わぬパスがスパッと収まるシーンをよく見かけるが、これなどは日本ではまだまだ拝みにくいプレーだ。キックは乱れがち。受け手の選手もトラップに時間を費やす。

 技術的な問題もさることながら、その重要性が追求されていないことのほうが問題だ。それぞれのキック、トラップの技術が上がらない理由でもある。

 さらに、サッカーそのものが攻撃的ではなく、全体の陣型がクリスマスツリー型になりがちなことも拍車を掛ける。パスサッカーを好む一方で、サイドチェンジの必要性に乏しい守備的サッカーを、多くのチームが実践してきた不幸を恨まずにはいられない。

 そうしたなかで、ドリブラーがどれほど勇気を持ってプレーできるかにも注目したい。昨季のMVP仲川輝人(横浜F・マリノス)はコロナ禍の中にあっても猪突猛進できるのか。

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