2020.06.19

大物カレッカがレイソルに来た理由。
幻の日本人選手育成計画は挫折した

  • リカルド・セティオン●文 text by Ricardo Setyon
  • 利根川晶子●翻訳 translation by Tonegawa Akiko

「それが私の進む道だと思った。他のサッカー選手とは違う何かができると思ったんだ」

 チームをプロリーグに導く戦いは、カレッカには心躍る挑戦に思えた。そしてレイソルにとってもカレッカは、昇格のためになくてはならない存在となった。

 それにしてもセリエAとのギャップはかなり大きかった。8万人近くが入るスタジアムで世界中に注目されプレーしていたのが、時には800人足らずのサポーターの前でプレーするのだ。

「日本では選手が何でもしなければならなかった。当時のレイソルはまだプロチームに必要なものがそろっていなかったので、ユニホームは自分で洗わなくてはいけなかったし、シューズも自分できれいにする必要があった。

 あまりにも違う世界だったが、私はそれを若い選手たちと一緒に笑顔でしていた。私はそういうことは一切気にしなかった。ただ試合でこのチームを勝たせたかった」

 彼はチーム1のスターで、いつも多くのファンに写真やサインを求められた。しかし、ここにも大きな違いがあった。