カレッカが語るマラドーナの仰天
エピソード「レモンで100回リフティング」

  • リカルド・セティオン●文 text by Ricardo Setyon
  • 利根川晶子●翻訳 translation by Tonegawa Akiko

あのブラジル人Jリーガーはいま
第6回カレッカ(前編)>>後編を読む

 今から3年ほど前、FIFAのインタビューでディエゴ・マラドーナは「自身のサッカー人生のなかで最高のチームメイトとは誰か?」と聞かれた。それに対してマラドーナはひと言、「アントニオ」とだけ答えた。

 アントニオとは、アントニオ・デ・オリヴェイラ・フィーヨのこと。一般的にはカレッカと呼ばれている人物である。マラドーナはいつも彼のことをアントニオと呼び、そしてカレッカはマラドーナのことをディゴと呼んでいた。

1987-88から6シーズン、セリエA・ナポリでプレーしたカレッカ photo by Yamazoe Toshio1987-88から6シーズン、セリエA・ナポリでプレーしたカレッカ photo by Yamazoe Toshio マラドーナとカレッカは厚い友情で結ばれている。

 1987年、カレッカは強豪サンパウロでプレーし、ブラジルサッカー界きってのスターだった。年間最優秀選手に輝き、得点王も獲得していた。

 そんな彼にレアル・マドリードが700万ドル(当時のレートで約10億円)のオファーをしてきた。しかし彼はそれを断り、その半分の値段でナポリに移籍した。

 当時のナポリにはマラドーナがいたからだ。カレッカはマラドーナのことをペレ以降最高の選手と思っていた。そして、彼は金よりもマラドーナとプレーすることを選んだのである。

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