チャナティップの札幌加入で「ガリガリ君」の売り上げが伸びた背景 (6ページ目)

  • 篠 幸彦●取材・文 text by Shino Yukihiko
  • 高橋 学●撮影 photo by Takahashi Manabu

 大矢は、「この流れに乗って少しでも多くのクラブにアジアへ進出してもらいたいと考えています」と言うが、当然ながら課題もある。

「我々から見ると、海外展開で成功できるポテンシャルを持ったクラブは、本当にたくさんあります。だからと言って我々のほうからクラブへ積極的に話を持ちかけても、そのクラブ皆が行動を起こす状況にまでは至っていないのが現状です」(大矢)

 ポテンシャルがあったとしても、クラブ自身が海外進出へ本気にならなければ成功は難しい。また、進出には当然リスクもあり、トラブルも少なくない。そこであきらめない忍耐やしぶとさが、アジア進出には求められる。

 それに伴う人材不足も大きな課題だ。アジア進出には語学以外にもそれなりの度胸が求められるという。東南アジアのリーグやクラブは、財閥のトップや元政治家などが牛耳っている。つまり、それだけの人物を相手にしても物怖じしないパーソナリティが必要になるということだ。

 新型コロナウイルスの影響により、新しい生活様式が求められるなか、Jリーグのアジア戦略も新しい発想が求められるだろう。それでも、来場者収入、スポンサー収入につづく、第3の収入源として、今後もアジア戦略が重要であることに変わりはない。

 その戦略が成功すれば、近い将来、アジア各国と共存共栄してさらに活気づくJリーグの姿が見られるだろう。
(おわり)
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