年齢詐称していたエメルソン。
来日しなければ選手生命が終わっていた

  • リカルド・セティオン●文 text by Ricardo Setyon
  • 利根川晶子●翻訳 translation by Tonegawa Akiko

「札幌はとにかく寒いから、それだけは覚悟してほしいと言われた。でも俺はますます日本に興味がわいた。俺はそれまで雪というものを見たことがなかったんだ。俺の生まれたのはリオデジャネイロ州でも最も貧しい町で、夏は40度以上で焼けつくほどに暑くなるところだった。初めて見る雪はフワフワで、俺は楽しくてしょうがなかった」

 2000年、コンサドーレはエメルソンを獲得したことが正解だったことを確認した。彼は34試合で31ゴールを決め、J2の得点王とMVPに輝き、チームをJ1に昇格させたのだ。

 彼のすばらしいボールタッチは人々を魅了し、所属するすべてのチームで彼は愛された。エメルソンは抜け目なく俊敏で、口元には常に微笑みをたたえてプレーするストライカーだった。日本でプレーするブラジル人選手というと、かつての偉大な選手が晩年を過ごしに......という例が多いが、エメルソンの場合はその真逆だった。日本に来た時は無名だった若手が、数年後にはJリーグのスターになった。

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