永井秀樹が明かす、コロナ危機にオンラインで伝えたヴェルディの戦術 (6ページ目)

  • 会津泰成●文 text by Aizu Yasunari
  • 本人提供●写真

 永井の目指すスタイルは、はまれば8人の選手と11本のパスをつないでゴールを決めた昨年のFC琉球戦のように、美しく観ている人たちに感動を与えてくれる。しかし、わずかなミスから大きなピンチを招いてしまう危険とも隣り合わせだった。昨シーズン、永井が監督就任後のヴェルディは、J2でボール保持率2位。75%の保持率を記録し注目を浴びた。

 しかし、独自の信念と哲学を持つ監督に対する評価は様々で、辛口の意見もあった。一方で、組織の魅力を高めることで、新しいヴェルディの伝統を作ろうとしている姿勢に対しては、長くサッカーに携わってきた記者からは「育成から積み上げ、長い目で捉えたチーム作り」と好意的な意見も聞かれた。

「プロの世界は、批判と賞賛の繰り返しだと思っている。もちろん批判されていい気はしない。でも、ほんとに期待してくれているからこそ、その期待を裏切られたときの腹立たしさもわかる。

 監督という仕事は、批判や敗北を恐れていたらできない。まずは腹をくくる覚悟があるかないか。腹をくくる覚悟がないのならば、監督という仕事は引き受けるべきではない。やはり、勝つか負けるか、極論すれば二者択一なわけで、全力を尽くした先での敗北は恐れない、勝利するための確率を上げる、そのために質にこだわり、全力を尽くす。その中で、失敗は恐れないけど、失敗を受け入れて修正できる謙虚さも持ち続けなければならない、という思いも変わらない」

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