永井秀樹が明かす、コロナ危機にオンラインで伝えたヴェルディの戦術 (4ページ目)

  • 会津泰成●文 text by Aizu Yasunari
  • 本人提供●写真

 しかし今は、高額年俸の選手を多く揃えて戦力補強できるようなクラブとは違う。それだけに、個の力に頼らず、より組織力で勝てるチームを目指し、伝統を築き上げることが、新しいヴェルディのあるべき姿と永井は考えていた。

活動休止中は、情報を共有しながらオンラインミーティングを行なった活動休止中は、情報を共有しながらオンラインミーティングを行なった 昨シーズンの中心選手が抜けたことは大きな誤算だったものの、今シーズンは、ユース時代の教え子を5人昇格させると同時に、国見高校の後輩でもあり、経験と実績を兼ね備えた大久保嘉人を獲得して、新しい風を吹き込もうとしている。永井が若い選手に期待するのは、大久保の技術や経験以上に戦う心を学び、「一流」と「超一流」の違いは何かを感じてもらうことだ。

 年明けは例年より早く始動した。沖縄キャンプでも、オフの日以外は連日2部練習で、強度の高いトレーニングで肉体的にも追い込んだ。さらに、トレーニングマッチを数多くこなすことで、戦術理解を深めると同時に、レギュラー争いも活発にした。

 迎えた2月23日の開幕戦、ヴェルディは昨シーズン4位で、J1参入プレーオフを最後まで勝ち上がった徳島相手に0-3で敗れた。

 結果はすぐには出なかった。しかし、高卒ルーキーの藤田譲瑠(ジョエル)チマをいきなり先発起用して、大久保とフロントボランチを組ませたり、センターバック(CB)には、左利きの山本が右側、右利きの高橋祥平を左側に起用するなど、昨シーズンから引き続き、長期的な視点に立ったチーム作りに向けて、さまざまな試みを行なう姿勢を見せた。

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