永井秀樹が明かす、コロナ危機にオンラインで伝えたヴェルディの戦術 (3ページ目)

  • 会津泰成●文 text by Aizu Yasunari
  • 本人提供●写真

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 昨シーズン途中からトップチームを引き継いだ永井は、就任当初から戦術だけでなく、チームとしてのあり方まで見直し始めた。根底にあるのは、常にヴェルディ再建を考えるなかでのチーム作りだ。

 かつての名門クラブは、なぜJ2が指定席になってしまったのか。日本リーグ時代、古河や日産といった大企業チームと比較して、資金的に優位とは言い難かった読売クラブは、なぜ強かったのか。それは、永井が現役晩年から抱き続けてきたテーマであった。今は現場の責任者でもあるトップチーム監督という立場で、新しいクラブの歴史作りに貢献したいと願っていた。

 これまでも何度となく話してきたように、永井の描くサッカーは「常に数的優位を維持し、90分間のボール保持とゲーム支配」「全員攻撃、全員守備のトータルフットボールで、90分間、自分達でゲームを支配(コントロール)して 圧倒して勝つ」というスタイルだ。誰が出場しても同じサッカーができることを一貫して目指している。

 前回ヴェルディがJ1復帰を決めた2007シーズン、多くの選手はJ1経験者だった。のちにブラジル代表でも活躍するフッキ(42試合で37得点)やディエゴ(47試合13得点)という超のつく助っ人や、名波浩や服部年宏といった日本代表でも一時代を築いた経験豊富なベテラン選手もいて、戦力的にはJ1クラブと遜色ないレベルにあった。当時36歳だった永井も、ここ一番という場面で戦況を変える切り札として活躍し、J1昇格に貢献した。

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