2020.05.15

小さなクラブ・ヴァンフォーレ甲府が見せた、2005年の大きな奇跡

  • 中山 淳●文 text by Nakayama Atsushi
  • photo by Kyodo News

 極めつけは、柏での第2戦だ。中2日の過密日程のなかで問題を修正できなかった柏に対して、甲府の攻撃力が爆発すると、エースのバレーが1試合6得点というダブルハットトリックを決めた。下馬評を覆し、アウェーの地でJ1クラブを6-2で下したのである。

 たしかに柏は後半に入って49分に退場者を出して、10人での戦いを強いられたこともあったが、それでもあの試合の甲府の勝ちっぷりは尋常ではなかった。ある種、神がかり的なものがあった。

 もっとも、その兆しはレギュラーシーズン終盤の残り3試合から見え始めていた。

 3位ベガルタ仙台と1ポイント差の4位に位置していた甲府は、第42節にアウェーでコンサドーレ札幌と対戦。同じ節で勝利した仙台に対し、甲府は90分を終えて1-2とリードを許しながら、アディショナルタイムに怒涛の3ゴールを叩き込み、奇跡的に首の皮一枚を残した。

 そして勝ち点1ポイント差のまま迎えた最終節は、同時進行のアビスパ福岡対仙台戦が1-1で進むなか、甲府はホームの首位京都パープルサンガに対して80分にアライールが決めて2-1と逆転。ところが終了間際に右サイドバックの杉山新が自陣ボックス付近でファールを犯して退場すると、そこで与えた相手の直接フリーキックがポストを直撃。まるでジョットコースターのようなアップダウンを繰り返した末、福岡に引き分けた仙台を抜いて、入れ替え戦出場権を得られる3位に滑り込んだのである。