2020.05.14

いじられ監督とやんちゃな選手たち。
2012年優勝の広島は底抜けに明るかった

  • 原山裕平●取材・文 text by Harayama Yuhei
  • 佐野美樹●撮影 photo by Sano Miki


 一方で新加入は、千葉和彦(←アルビレックス新潟)と石原直樹(←大宮アルディージャ)のみ。戦力ダウンの印象は拭えず、優勝候補に挙げる者など皆無だった(当時、専門誌で広島担当記者を務めていた筆者でさえも......)。

 もっとも、そうした負の状況に陥りながらも、選手たちに悲壮感はなかった。

「キャンプの段階から、ある程度やれる手応えはあった」と佐藤寿人が振り返ったように、低い下馬評とは裏腹に、確かな自信を備えてシーズンに臨んでいたのだ。

 開幕戦の相手は、前年まで広島を指揮していたペトロヴィッチ監督率いる浦和レッズだった。

 因縁のチームをホームに迎えた一戦で、広島は完成度の違いを見せつけて1−0と勝利。「キャンプでやって来たことが間違いじゃなかったと証明できた」と森崎浩司が振り返ったように、この勝利が広島にとってのターニングポイントとなった。

 確かな自信を手にした広島は、スタートダッシュに成功。前半戦を2位で折り返すと、第18節で首位に立ち、その後、ベガルタ仙台とのデッドヒートを制して悲願のJ1初優勝を成し遂げている。