昨季の横浜F・マリノスは「史上最強」。的確な補強戦略で常識を覆した

  • 浅田真樹●文 text by Asada Masaki
  • 佐野美樹●撮影 photo by Sano Miki

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『私のベストチーム』
第6回:2019年の横浜F・マリノス

 あなたの考えるJリーグ史上最強のチームは?

 実に難しい質問だ。

 30年近い歴史があれば、その間には強く印象に残っているチームはいくつもある。そもそも異なる時代のチームを単純に比較などできない。

 また、得てして古い記憶は、時間とともに脳の中で美化されがちだ。「昔はよかった」とばかりに、「あのチームは強かった」という印象が強くなる。

 ならば、古い記憶を引っ張り出してまであれこれ悩むのはやめ、最も新鮮で強烈な記憶に従って答えを出そうと思う。

 人生で最も好きな映画は? と聞かれて、最新のアカデミー賞作品を挙げるようで、少々気恥ずかしさもあるが、それだけ記憶が鮮明なのだから仕方がない。

 昨季のJ1王者、横浜F・マリノスである。

 率直に言えば、昨季開幕当初の横浜FMには、好印象こそあったが、うならされるような強さは感じなかった。事実、常に上位争いをしていたとはいえ、夏場には優勝チームらしからぬ3連敗も喫しており、1シーズンを通して安定した強さを発揮したのか、と尋ねられれば、すぐに首を縦に振るのは難しい。

 そんなチームが"化けた"のは、シーズン最後の11試合だ。

 正直、この間の横浜FMは、怖いくらいに強かった。それは、「簡単には負けない」とか、「終わってみれば勝っている」といった類の勝負強さではなく、相手を蹂躙するような強さ。試合後には、負けた相手選手から、白旗を挙げるようなコメントを聞くことも少なくなかった。

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