コロナ後のサッカー観戦はどう変わる?5G活用と客席高級化の可能性 (5ページ目)

  • 鈴木智之●取材・文 text by Suzuki Tomoyuki
  • photo by AFLO

 近年のスタジアムは低コストでつくられた一般席と、VIP向けのホスピタリティルームに分かれているところが多い。たとえば、マンチェスター・シティのホームスタジアムの一般席は、驚くほど簡素なつくりだ。一方、ホスピタリティルームは豪華で、食事が楽しめたり、試合後の取材エリアを覗くことができたりと、様々な特典がある。両者のチケット代は10倍以上の開きがあるが、好評を博しているという。

「アフターコロナのスタジアムづくりとしてイメージしているのが、シンガポールのアワータンピネスハブという複合施設内にある『タンピネススタジアム』です。シンガポール1部のクラブが使っているスタジアムで、座席はメインスタンドのみ。収容人数は5千人程度です。バックスタンド、ゴール裏は商業施設になっていて、図書館などが併設されていて、そこから試合を見ることもできます」(宮下氏)

 戸田氏が補足する。

「今後はスタジアムの収益性を、より追求していく時代になると思います。コロナウイルス感染のリスクが残るのであれば、数年の間は中間ファン層を中心に、スタジアムに足を運ぶ人口が減る可能性があります。現地観戦はホスピタリティルームとゴール裏とで二極化し、中間層はオンラインを通じて、スマートフォンなどで視聴する形がスタンダードになるかもしれません。

 いちばん高額な席を買う人のなかには、金額に見合ったサービスをしてくれるのであれば、もっと高いお金を出してもいいと思っている人は多いでしょう。スタジアムの設計もリッチな空間を拡大し、高級な椅子を設置してスペースもゆったりとるなどして、他の席との差別化を図る試みもされていくと思います」

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