小林悠がどん底だった2012年。「1年で5年分」成長したきっかけの言葉 (5ページ目)

  • 原田大輔●取材・文 text by Harada Daisuke
  • 佐野美樹●撮影 photo by Sano Miki


「逃げたくなかったんですよね、やっぱり。結婚して間もなかったですし、このままだとクビになってしまうかもしれない。サッカー選手としてやっていけなくなるかもしれない。その危機感もありました」

 独り身ではなくなったことも、奮起するうえでは追い風になった。

「まずは『右サイドでプレーさせられている』という概念を取っ払ったんです。右で試合に出ようが、ゴールを決めればいいんだって考えました。点を獲らなければ、自分はサッカー選手として生きはいけないと思っていたので、逆サイドからのクロスにどう入るか。

 当時は左サイドにレナトがいたので、そこからクロスが上がってくることが多かった。ワンタッチで得点することが得意ならば、それにヘディングで合わせる。もしくは右にいないで中に入って行ってしまえばいいんじゃないか、とすら思っていました」

 思考の転換である。自身が嫌悪していた右サイドという概念をなくしたことで、ポジショニングも変われば、視野も大きく開けた。

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