2度の大ケガで苦しんだ本音を吐露。広島・佐々木翔はどう逆境をバネにしたか (8ページ目)

  • 原田大輔●取材・文 text by Harada Daisuke
  • 佐野美樹●撮影 photo by Sano Miki


「よくこの質問をされるんですけど、普段は綺麗に答えているんです。メンタル面だったり、人間としては成長できたって。ただ、本音を言えば、ただの無駄な時間です」

 2年という時間があれば、どれだけのキャリアを積めたのだろうか。そう思うのは当然である。

「今は復帰できて、試合にも出られるようになったから、メンタルや人として成長したって言えるんですよね。でも、自分に物足りなさというか、昔の自分との差を感じる時もやっぱりある。そんな時、『今もお前は成長しているんだぞ』って自分に言い聞かせてきたところもあります」

 言い換えれば、その2年間を「無駄な時間」と言えるのは、今日の佐々木があるからだ。それだけの努力と研鑽を積んできたからこそ、過去をそう言いきることができる。

「あの経験が将来の何に生きるかって言われても、やっぱり、答えを出すのはすごく難しくて。あの時間があれば、もっとうまくなれたんじゃないかという思いのほうが大きい。それだけもったいない時間だったなって思います。

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