2度の大ケガで苦しんだ本音を吐露。
広島・佐々木翔はどう逆境をバネにしたか

  • 原田大輔●取材・文 text by Harada Daisuke
  • 佐野美樹●撮影 photo by Sano Miki


 1度ならまだしも、2度......厳密に言えば、3度も苦況に立たされた。前進しては後退、光りが見えれば暗闇に突き落とされながら、佐々木はなぜ前に進めたのか。

「今の世の中の状況を考えれば、僕は選手としていられる立場だったから、まだまだ甘い状況だったのかもしれないですけど、やっぱり、その時にできることを粘り強くというか、今やれること、できることに向き合えるかどうかしかないんですよね。だからこそ、自分も今につながっていると思うんです」

 復帰してからも、頭の中にある以前の自分のイメージと実際の身体の反応が異なり、それが合致するまでには、かなりの試合数を要したという。

「頭の中では、このタイミングなら足でボールを触っていると思って、足を出すんですけど、その時にはもう相手に先にボールを触られている。だから、復帰して半年くらいは超きつかったですね」

 ただ今では、そうした想像と現実の差違も感じなくなったという。佐々木にとって、あの2年間で糧になったものはあるのだろうか。

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