2度の大ケガで苦しんだ本音を吐露。広島・佐々木翔はどう逆境をバネにしたか (6ページ目)

  • 原田大輔●取材・文 text by Harada Daisuke
  • 佐野美樹●撮影 photo by Sano Miki


 翌日がオフだったこともあり、夜には街中に出掛けてチームメイトと食事をした。みんなが楽しそうにしている姿を見て、自分が再び負傷した事実は告げなかった。

「部屋に戻ってからもみんなと話をしていたんですけど、気を遣われるのが嫌だったので言わなかった。だから、誰にも言わず、翌朝キャリーバックを引いて広島に帰ったことを覚えています」

 再びオペを行ない、再び地味で過酷なリハビリを経て、佐々木がピッチに戻ったのは2018年のJ1開幕戦だった。ほぼ2年間、佐々木はシーズンを棒に振ったのである。

「僕自身、メンタル的に落ち込んだ時期もありました。本当に戻れるのかなっていう思いは当然、あるじゃないですか。サッカーができるようになっても、試合に出られなければ意味がないって自分では思っていて。

 そんな時に、奥さんが『ちゃんともう1回、試合に出られるって私は信じているから大丈夫だよ』って言ってくれたんです。その言葉には救われましたよね」

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