2020.05.04
ジーコの抜けた穴を埋めたベベット。
W杯で見せた「悪童」との友情

- リカルド・セティオン●文 text by Ricardo Setyon
- 利根川晶子●翻訳 translation by Tonegawa Akiko
2人が抱き合ったシーンは、ブラジルがひとつにまとまっていることを現していた。
準々決勝のオランダ戦は、大会中、最も難しい試合のひとつだった。2点目のベベットのゴールは本物のゴラッソというやつだった。ベベットの喜びは最高潮だった。なぜならその数日前に3人目の子供、次男・マテウスが生まれていたからだ。
彼の妻はブラジルで出産したため、ベベットはまだ息子をその手に抱いてはいなかった。そこで生まれたのが、かの有名な"ゆりかごダンス"だ。ロマーリオ、マジーニョとともに赤ん坊を抱き、左右にあやすよう動かし、この様子は全世界に放送された。そのマテウスは今、プロサッカー選手になっている。
そして、ベベットのもうひとつの有名なエピソードは日本で生まれた。
(つづく)
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ベベット
本名ジョゼ・ロベルト・ガマ・デ・オリヴェイラ。1964年2月16日生まれ。フラメンゴに6シーズン所属した後、ヴァスコ・ダ・ガマ、デポルティーボ・ラ・コルーニャ、セビージャなどで活躍。2000年には鹿島アントラーズでプレーした。ブラジル代表として1990年イタリアW杯、1994年アメリカW杯、1998年フランスW杯に出場。