2020.05.04

ジーコの抜けた穴を埋めたベベット。
W杯で見せた「悪童」との友情

  • リカルド・セティオン●文 text by Ricardo Setyon
  • 利根川晶子●翻訳 translation by Tonegawa Akiko

 父親は、ベベットがサルヴァドールを去るのを快く思っていなかった。彼は将来、ベベットに自分の不動産会社を譲ろうと考えていた。しかしフラメンゴが本気で彼をチームのスターにしようと考えていると知った時、事業を継がせることを断念した。息子の未来は別のところにあると悟ったからだ。

 ベベットはジーコを尊敬している。その一方で、ディエゴ・マラドーナの大ファンでもあった。インタビューでは、いつもこう言っていた。

「ディエゴは偉大だった。でもボールを持った彼はとてもエゴイストだった。彼はジーコが持っていた知性の50%しか、ピッチでジーコが見せた優しさの10%しか持ち合わせていなかった」

 おそらくベベットはスターひしめくブラジル代表のなかで、唯一、監督が実際に試合を見ることなく招集を決めた選手だろう。1985年、カルロス・アルベルト・パレイラ監督は、一度もプレーを見ることなく、彼をオリンピック代表に招集した。その後、ベベットは代表を引退する1998年まで、セレソンの選から漏れることはなかった。