J最多優勝の鹿島アントラーズらしさを表す、MVP受賞者わずか3人の謎 (2ページ目)

  • 浅田真樹●文 text by Asada Masaki
  • photo by YUTAKA/AFLO SPORT

 逆に、鹿島が優勝できなかったシーズンで、鹿島の選手がMVPに選ばれたケースはというと、一度もない。優れたタレントを数多く輩出してきた常勝軍団のイメージからすると、優勝実績に比して、MVP実績は驚くほど乏しい。

 過去、優勝回数よりも、MVPを獲得した回数のほうが多いクラブが5つもあるのとは対照的だ。

・名古屋グランパス優勝1回(2010年)/MVP2回(ドラガン・ストイコビッチ=1995年、楢崎正剛=2010年)
・ジュビロ磐田優勝3回(1997年、1999年、2002年)/MVP4回(ドゥンガ=1997年、中山雅史=1998年、藤田俊哉=2001年、高原直泰=2002年)
・清水エスパルス優勝0回MVP1回(アレックス=1999年)
・浦和レッズ優勝1回(2006年)/MVP3回(エメルソン=2003年、田中マルクス闘莉王=2006年、ロブソン・ポンテ=2007年)
・川崎フロンターレ優勝2回(2017年、2018年)/MVP3回(中村憲剛=2016年、小林悠=2017年、家長昭博=2018年)

 ここまで極端だと、鹿島だけが不当に低い評価を受けているのではないか、と疑いたくなるほどである。

 しかしながら、この事象は、ある意味で「鹿島らしい」とも言えるのではないだろうか。

 つまり、鹿島が常勝軍団となりえたのは、特定の選手に頼るのではなく、チームとしての総合力が高かったから。あるいは、特定の選手だけが目立たないほどに、戦力が粒ぞろいだったから。そして、コンスタントに力を発揮できないシーズンでも、ここぞの勝負どころで驚異的な勝負強さを見せてきたから。その結果が、史上最多の優勝回数に表れているということだ。

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