カズが最高に輝いたシーズンは? 
変貌する肉体とそのプレースタイル

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki
  • 山添敏央●写真 photo by Yamazoe Toshio

 イタリアから帰国した頃は、「趣味は筋トレ」と言ってはばからないほどだった。その結果、プレーに重量感が生まれた。より重さを備えた、本格派色の強いストライカーへと変貌を遂げた。第2ステージからの出場だったが、95年にマークした26試合23点は、その賜物と言えた。

 95年の年間最優秀選手に選ばれたのは、ドラガン・ストイコビッチ(名古屋グランパス)だった。文句なしと言えば文句なしの選出だ。しかし、カズのブラジル時代からの推移を見てきた筆者は、95年こそカズを推したくなる。

 問題は96年との比較だ。28歳から29歳になったカズは、前述のようにJリーグで初の得点王にも輝いている。ストライカーとしてますますスケールアップしていった。しかし、スケールアップしすぎたとの印象も同時に抱くことになった。カズが本来備えていた、いい意味での軽さ、俊敏さ、技術的に言うならば、逆をとる巧さは失われていった。軽さと重さのバランスが失われた状態にあった。素人目に見ても、骨格に対して筋肉が付きすぎているようだった。

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