過去の数字から読み解く。今季J1で「降格なし」が与える影響は (5ページ目)

  • 浅田真樹●文 text by Asada Masaki
  • photo by Kyodo News

 しかしながら、各クラブ、とくに近年下位に低迷するクラブにとっては、「降格なし」の今季が、腰を据えて強化を図るチャンスになりうるのは確かだろう。

 振り返ると、昨季J1を制した横浜F・マリノスも、大きくスタイルチェンジを図った一昨季の成績は12位。しかも、J2自動降格となる17位との勝ち点差はわずかに2しかなかった。J1参入プレーオフに回る16位とは勝ち点で並んでおり、得失点差によるギリギリのJ1残留だったのだ。もしも、このときJ2へ降格していれば、当然、昨季のJ1優勝もなかったことになる。

 13年ぶりのJ1昇格で、まずは若い選手を中心にJ1のスピードに適応する必要がある横浜FC。あるいは一昨季の横浜FM同様、大きなスタイル変更に取り組んでいる清水エスパルス。そういったクラブにとっては、「降格なし」の今季をうまく活用することが、昨季以降の大きな飛躍につながるかもしれない。

 先を見通せない現状、どのクラブも難しい時間を過ごしていることに変わりはない。しかし、だからこそ、今をどう乗り越えるか。誰もが苦しいときだからこそ、周囲との違いを生み出すチャンスでもあるのだろう。

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