過去の数字から読み解く。今季J1で「降格なし」が与える影響は (3ページ目)

  • 浅田真樹●文 text by Asada Masaki
  • photo by Kyodo News

 そこで、Jリーグのシーズンを"1997年以前"と"1998年以後"に分け、現行規定での自動降格相当クラブ(下位2クラブ)の勝ち点にどんな違いがあるのかを、比べてみることにする。

 厳密に言えば、1998年J1参入決定戦に回るクラブは、1997年と1998年の成績をポイント化し、その合算で決められたが、1997年の成績の比重が1998年の半分と軽かったため、"1997年以前"と"1998年以後"を境界とした。

 また、2004年については、翌2005年からのクラブ数拡大(16→18クラブ)にともない、自動降格がなかったため、"1997年以前"に加えている。

 当然、シーズンによって、クラブ数と試合数が異なり、単純に勝ち点の比較はできない。そのため、各シーズンの下位2クラブの1試合あたりの勝ち点(総勝ち点÷試合数)を算出し、比較することとした。

 なお、2ステージ制を採用していたシーズンの場合、1ステージ内でホーム&アウェーの2回戦総当たりが成立していた1993~1995年は、1ステージ=1シーズンとしてカウント。その他の2ステージ制だったシーズン(1997年~2004年、2015年~2016年)は、年間勝ち点による1シーズンとみなしている。

 1997年以前の9シーズンにおける下位2クラブ、すなわち、のべ18クラブの1試合あたりの平均勝ち点は、およそ0.86。最高は1993年ファーストステージ9位の名古屋グランパスで、およそ1.17。最低は同ステージ10位の浦和レッズで、0.5である。

 しかしながら、この間の勝ち点を見ると、下位2クラブであろうとも、おおむね0.8以上の勝ち点を上げている(のべ18クラブ中15クラブ)。浦和の0.5は、例外的に低い勝ち点だったと言えるだろう。

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