野洲高の伝説ゴールを決めた男は今、後輩の冷めた心に火を点けている (4ページ目)

  • 鈴木智之●取材・文 text by Suzuki Tomoyuki
  • 高橋 学●撮影 photo by Takahashi Manabu

 近年の野洲高は優勝時ほどの勢いはなく、滋賀県予選を突破することができないでいた。母校の現状に歯がゆさを感じた金本は、山本佳司総監督に請われたこともあり、コーチを務めることになった。それが2017年6月のことである。

 金本はコーチとしてチームに関わる中で、当時の攻撃的でクリエイティブな"野洲スタイル"を知っていて、指導に協力してくれる人材を探した。思い当たったのが、滋賀県で指導者として生計を立てていた瀧川だった。金本から声をかけられた瀧川は「会社に入って10年を区切りに考えていました。そんな時に『野洲高のコーチにならないか』と言われて、ちょうどいいかなと思って」と、申し出を快諾した。

 母校のグラウンドに戻り、高校生年代を指導するにあたって、改めて感じたのは恩師の偉大さだった。

「山本先生はすごい。あの人の情熱は衰えることを知らない。僕なんて、現役時代の頃より怒られてますから。この前も遠征に行って、朝6時の朝食の時間に『今の選手たちのヘディングが下手なのは、アキラがちゃんと教えてないからや』って怒り出して。朝6時ですよ。普通の情熱じゃないですよね。ちなみに僕は選手権の準決勝で、ヘディングでゴールを決めてるし、そんなに下手じゃないと思うんですけどね(笑)」

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