野洲高の伝説ゴールを決めた男は今、後輩の冷めた心に火を点けている (2ページ目)

  • 鈴木智之●取材・文 text by Suzuki Tomoyuki
  • 高橋 学●撮影 photo by Takahashi Manabu

「僕が通っていた中学校が、必ずどこかの部活に入らなくてはいけない決まりがあって、陸上部が強かったんですね。それで、じゃあ入っとこうかと」

 もともと足は速かった。週末は陸上部の大会に出て、好成績を収めていた。サッカーはコーチが怖くて、気乗りがしない。もう、サッカーはええかな。そう思っていたある日のことである。父親が急に声をかけてきた。

「サッカーから半年ぐらい離れていたある日、お父さんが『今日、サッカー行くぞ』って、試合に連れて行こうとしていたんです。それで会場に行ったら、試合に出してくれて。それで、(当時の監督で野洲高のコーチも務めた)岩谷(篤人)さんってすごいな。半年ぶりに来たのに、試合に出してくれるんやって、子どもながらに感じたんですよね」

 瀧川はブランクがあったにも関わらず、試合に出してくれたことで「またサッカーをやってみようかな」とやる気が芽生えてきたという。ポジションは主にサイドバック。快速を活かしたプレーが持ち味で、中高時代にチームメイトだった金本と平原は「(瀧川は)わけわからんぐらい足が速かった」と口をそろえる。

「対戦相手に『滋賀県でいちばん速い』って言われていたヤツがいたんですけど、(瀧川)アキラはそいつよりも速かったんです。ほんま、漫画みたいなスピードで走ってましたよ」(金本)

2 / 6

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る